オナホールの素材について
オナホールの素材に関して
取扱に関して、素材の基本的な知識があれば、状況に応じた保管、修理、温め等にも応用が利くと思いますので簡単にご説明させていただきます。(温めに関してましては別記事で詳しく書かせていただきます。)
オナホールの素材はTPE(サーモプラスチックエラストマー)といいます。TPEの中でもいろいろ分類があり、一般的なものがTPS(スチレン系エラストマー)といいます。
TPEの中でもTPSは温度に弱いと言う弱点がありますが、比較的自由に硬度を設定させることができ、柔らかいものが得意です。
靴底や自動車部品、防振シート、衝撃緩和クッションに使われていたりします。
オナホールの素材の主成分はTPS系のコンパウンドにオイルを混ぜできるものです。
オナホールメーカー各社、TPSの種類、オイルの種類、配合割合レシピを持っており、それ以外に成型時の素材の取扱等によって強度、柔らかさ、臭い、オイル感等の違いが出てまいります。
成型時の加熱によりオイルは劣化してしまい少なからず臭いが発生いたします。オイルのグレードや種類にも左右され、工業系だとコストは安いですが臭いがきつく、食品、化粧品系オイルであればコストが高いですが、比較的臭いの少ないものとなります。
海外のもので工業系のオイルの臭いをごまかすために香料を入れてごまかしているものもありますが、日本人の場合、余計に気分が悪くなってしまう人が多いです。
オナホールの素材TPSの状態を表したもの
ゴム部分、オイル、架橋点から構成されます。
一般的にゴム部分が長いほどオイルをたくさん含有でき、強度も強くなります。架橋点がたくさんあるほど素材は硬くなる性質を持ちます。
爪痕や裂け傷からさらに裂けやすくなるのは、裂けによりゴム部分が一部断ち切られてしまい周囲の強度が弱くなるから、そして力点がそこに集中しやすくなるからです。
熱をかけると架橋点が移動し流動性をもちます。
加熱を続けると架橋点が移動し、完全に流動化します。
夏の気温で変形しやすいのは架橋点がずれた位置に移動してしまうからです。
硬度の固めのものは、架橋点がたくさんあるので変形しにくいといえます。
裏返した状態で熱湯につけると、裏返しにより表面に大きな張力がかかっている状態となり、さらに加熱により架橋点が移動し大きく裂けてしまいます。
加熱なしでも裏返し放置で裂けてしまいます。ゴム部分が張力により千切れたり、伸びてしまい強度が落ちてしまうからです。
裏返しによる張力は思った以上に強く、例えば内径10mm、外径60mmのオナホールを裏返した場合、(肉厚や構造、素材によって違ってきますが)単純に素材を6倍程度引き伸ばす張力がかかってしまっています。大切なオナホールを長く使うため、裏返した状態で放置しないようにしましょう。
オナホールの修理・修繕に関して
万人向けの方法ではありませんが、上級者の方、手先が器用な方向けにオナホールの裂けの修繕を考察してみます。
高温になりにくい半田ごてが必要となります。高温の場合、技量に応じて水を含ませた布巾などでコテの温度を調整してください。120℃程度で架橋点は動かせます。
溶かした素材Aを溶けていない素材Bに単純に熱融着でくっつけても、架橋点が不均一及びゴム部分がAとBで結合していないため、強度は期待できません。またBの表面に架橋点が存在している事も理由のひとつです。AとBも溶かし架橋点を動かしゴム部分を流動化させてやる必要があります。
ですので、ハンダごて等で裂けた箇所にオナホールの切れ端を溶かして修理するにはテクニックが必要です。熱による劣化を避け、AとBを溶かし架橋点を動かせてやり固着させる必要があります。ただAとB熱をかけすぎて完全に流動化させてしまうと成型しにくくガタガタになってしまいます。
手先がさほど器用でない方は、裂けが広がってしまいますが、裂け部分も溶かしてしまう方法があります。力点が分散されるので裂けが広がりにくくなります。
このとき、裂けた部分を手で広げながら(張力をかけながら)ハンダごてをあててしまうと、前述した裏返しで熱湯に入れる状態と同じ理屈で大きく裂けてしまいます。
熱を加える場合は、素材にテンションがかかっていない状態でかけてください。
溶けやすさはオイル含有量の多い柔らかいものほど溶けやすいです。
一番の失敗は熱が強すぎて溶かしすぎてしまうことです。実際に溶けすぎても影響の少ないと思われるオナホールの底部の端等の箇所、もしくは切れ端で熱溶解の早さの勘を掴んでおくと良いと思います。
溶かしすぎた!と思った場合は、こて先で流動化してしまった部分を再成型せずに溶融した加熱部を冷まして架橋点を安定させてから再度溶着した方が、作業性もあがり、熱劣化も防止できます。過熱すると素材は劣化し脆くなってしまいますのでなるべく低い温度で短い時間できっちり溶かして架橋点を再構築させるという技量が要求されます。
修理に接着剤が使えれば一番いいのですが、現時点でTPEに効く有力な接着剤がありません、一時的に接着しても接着剤にオイルが入り込み膨潤してしまい剥がれてしまいます。
オナホール素材の安全性
TPSコンパウンド自体は害のないものですが、オイルのグレード、またはオイルの変質によっては影響があるものもあると思います。
オナホールで食品衛生法?
オナホールでは食品衛生法の許認可は存在しないですが、素材のTPSが食品衛生法認可(食品トレイに使用できるグレード)、また使用するオイルが食品レベルなのかFDA認可(米国食品医薬品局)されていたりするのかでメーカーさんによっては食品衛生法370号準拠という表現をとっておられると思われます。
弊社工場のオリジナルオナホールは、TPSコンパウンドも食品衛生法認可、オイルもFDA認可の食品レベルのものを使用しております。
オナホールの破棄について
お気に入りのオナホールも、大きく裂けてしまったり、変形したり、雑菌、カビが繁殖してしまうと破棄を考えないといけません。
オナホールの素材TPEは、シリコーン樹脂やゴムに似ておりますが、プラスチックに分類されます。各自治体によってプラスチックゴミの扱いが違うと思いますのでご注意ください。
破棄はプライバシーを守るため、ハサミで細かく原型がわからなくなるまで刻み、ポリ袋等に入れてプラスチックゴミの日などに捨ててください。オナホールが大きい場合は少量ずつ破棄すると良いでしょう。
原型がわからなくなる程度の大きさにカット
お鍋で溶かして原型をわからなくしたり、自家製の型に流し込んで再鋳造する方もおられますが、危険ですので大魔王では推奨できません。
溶解温度はオイルの含有量や分子量によってかなり違ってきますが一般的に120度ぐらいからじわじわ溶けていきます。細かく刻んだものを投入した方が溶けやすいです。
150度ぐらいで少し時間をかければシャバシャバになってくる温度です。この辺りから油煙が生じ、オイルや素材の劣化が始まります。220度あたりから引火点になり大変危険ですのでご注意ください。